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電子部品の湿度対策|防湿規格の重要性とその役割2024.06.10

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電子部品の製造や取扱いにおいて湿度管理は欠かせないもので、湿気の影響を最小限に抑えるために、防湿規格が策定されています。

この規格は、部品の品質や信頼性を保証し、製品の性能を最適化するための基盤となっています。

そこで本記事では、防湿規格や湿度管理の重要性、さらに安曇川電子工業の防湿の取り組みについてもお伝えします。

電子部品の防湿規格とは

電子部品の防湿規格は、湿気管理に関する業界標準であり、部品の品質を保つための基準や規定を定めているものです。

電子部品の防湿規格を定めている団体はいくつかありますが、どの団体も電子部品の製造、取り扱い、輸送における湿気管理に関する基準を提供し、部品の品質と信頼性を確保するための重要な役割を果たしています。

以下に、一般的な電子部品の防湿規格を定めている主要な団体を示します。

  • JEDEC(Joint Electron Device Engineering Council):JEDECはアメリカの半導体産業における標準化団体であり、半導体および関連する電子デバイスの設計、製造、テスト、取扱いに関する国際的な標準化を行っています。
  • IPC(Association Connecting Electronics Industries):IPCは電子産業の標準化団体で、電子製造業界全体のための規格やガイドラインを策定しています。IPCはアメリカを拠点としており、基板設計、表面実装技術、はんだ付けプロセス、検査方法などの電子製造における標準化規格を策定しています。

電子部品を防湿しないとどうなる?

電子部品を防湿しないとどうなる?

防湿規格が存在するほど、電子部品は湿気に対して慎重な取り扱いが求められますが、湿気管理が不適切な環境で部品が保管や製造されると、どのような悪影響が起こるのでしょうか。

錆や腐食の発生

部品内部の導体や接合部に湿気が侵入すると、錆や腐食が生じやすくなります。

錆は導体の表面を覆い導電性を低下させ、腐食は金属の表面に穴や溝を形成して導体の接合部の損傷を引き起こすことも。その結果、部品の信頼性が低下し、故障や不良の増加につながります。

絶縁体の劣化

部品内の絶縁体は、湿気にさらされると水分を吸収することがあります。湿気が絶縁体に浸透すると、水分は絶縁体内部に拡散。これにより、絶縁体の絶縁強度や耐電圧性能が劣化し、絶縁体が通電または高電圧にさらされた際に絶縁故障が発生するリスクが増加します。

また、絶縁劣化が進行すると、部品間や回路間でショートが発生し、製品の動作不良や機能停止が引き起こされることもあるのです。

性能のばらつき

湿気の影響を受けた部品は、部品の内部構造や材料特性が正常な物とは異なるため、同じバッチ内でも性能や信頼性がばらつくようになります。これにより、製品の品質や性能が不均一になる可能性があります。

また、湿気の影響を受けた部品が混在する場合、製品のテスト結果が信頼性を欠くものとなったり、不良品が製品に混入したりするリスクまで高まってしまいます。

電子部品の防湿規格はなぜ必要なのか

電子部品の防湿規格はなぜ必要なのか

電子部品は湿気に弱く、湿度の高い環境では部品に大きな損傷を与える恐れがあります。では、なぜ防湿規格があると役立つのでしょうか。

品質保持

電子部品は湿気に敏感で、湿気の影響を受けることで性能が低下したり、劣化したりする可能性があります。防湿規格によって部品の製造から保管、輸送、使用までの各段階で適切な湿気管理が行われるようにすることで、品質を保持できるようになるのです。

国際標準化

電子部品の取り扱いに関する規格は、国際的な標準化団体や業界団体によって策定されています。これにより、世界中の製造業者や供給業者が同じ基準に従って作業を行うことができ、製品の品質や信頼性を確保するための共通の基盤が提供されるようになります。

信頼性確保

電子部品が湿気にさらされると、錆や腐食などの問題が生じる可能性があります。これにより部品の信頼性が低下し、製品の寿命が短くなったり、誤動作が発生したりする可能性が高まります。

しかし、防湿規格があればこれらの問題を回避することができて電子部品の品質と信頼性が向上。同時に顧客満足度の向上も望めるのです。

 
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安曇川電子工業のMSLに準じた部品管理

防湿規格とともに電子部品を管理する上で重要な役割を果たすのが、「MSL(Moisture Sensitivity Level)」、湿度感度レベルです。

防湿規格は、電子部品の製造、保管、輸送などの過程で湿気の影響を最小限に抑えるための基準を定めたものです。一方、MSLは、部品が湿気を吸収することによって劣化する可能性を評価し、適切な取り扱い方法を決定するための指標です。

MSL Level
1:30℃、85%RH以下ならフロワーライフなし
2:1年間
2a:4週間
3:168時間(1週間) 
4:72時間(3日間)
5:48時間(2日間)
5a:24時間(1日間)
6:特殊仕様(ベーキングしてから使用)

MSLの数字が大きいほど、部品が湿気に対してより敏感であることを示します。つまり、MSLレベルが高い部品は湿気の影響を受けやすく、取り扱いには特に注意が必要ということになります。

安曇川電子工業のMSLに準じた部品管理
▲MSLレベル3の電子部品

一般的に、MSLレベルが2以上の部品は吸湿を防止する必要があります。
安曇川電子工業では、このような部品の梱包をアルミパックに乾燥剤を入れることで湿気から保護しています。

アルミパックには湿気を遮断する効果があり、さらに乾燥剤を入れることで湿気を吸収して部品を乾燥させる役割を果たします。このような措置を講じることで、部品の品質と信頼性を確保し、製品の性能を維持することができるのです。

電子部品を適切な湿度下で守るために

安曇川電子工業では、MSLレベル2以上の配慮が必要になる繊細な電子部品の保管や取扱いに対応するため、高度な環境を提供しています。その中で欠かせないものが、湿度管理室とドライボックスです。

湿度管理室

電子部品を湿度から守るために:湿度管理室

湿度管理室という室内湿度を39%以下に保つ除湿室を使用しています。湿度をコントロールすることで高湿度の環境から部品を保護し、劣化や損傷を防ぐなど、湿気に敏感な電子部品や機器を安心して保管することができます。

ドライボックス

電子部品を湿度から守るために:ドライボックス

特に湿度に弱い半導体などの電子部品は、湿度が1〜2%で常時管理されるドライボックス内で最適な状態で保管します。

また、ドライボックスの開閉は手短に行い、開封後は迅速に湿度を制御。0.5h以内に5%RH以下になるよう管理しています。

これにより、部品が湿気にさらされる時間を最小限に抑え、劣化や損傷を防止します。

▶︎電子部品の長期保管における注意点についてはこちらの記事をご覧ください。

 
 

プリント基板実装、電気機械器具組立の安曇川電子工業|関西・近畿

プリント基板実装、電気機械器具組立の安曇川電子工業

 
安曇川(あどがわ)電子工業です。プリント基板・部品調達〜基板実装、電気機械器具組立まで、
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