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電子部品の長期保管における注意点|劣化対策と品質維持のポイント2024.05.17

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電子部品は湿気や温度の変化などに敏感で、長期保管(6か月〜1年以上)をすると劣化のリスクが高まります。

この記事では、電子部品を長期保管する際に劣化を最小限に抑え、品質を維持するための対策について解説します。

湿気や温度変化が部品に与える影響や、劣化を防ぐための適切な保管方法などの確認に役立ててください。

電子部品が劣化する原因

電子部品が劣化する原因まずはEMSの基礎知識についてご紹介いたします。

電子部品の劣化は、製造から保管、使用に至るまでさまざまな要因によって引き起こされます。特に、長期保管は劣化のリスクを高めるものです。まずは、電子部品保管時、主にどのような原因で劣化するかを知りましょう。

水分と酸素

長期間の保管中に電子部品が湿気や酸素にさらされると、部品や基板、パッケージが水分を吸収する可能性があります。これによって、水分が基板やパッケージに浸透し、金属部品が腐食しやすくなってしまいます。

金属部品が腐食することで、部品の性能や信頼性が低下する恐れがあるほか、はんだの濡れ性も低下し、部品の取り付けやはんだ付けが困難になることも。このような状況では、部品の品質が劣化し、最終製品の性能に悪影響を与えることになるでしょう。

静電気

電子部品は静電気に非常に敏感であり、静電気の放電によって劣化や破損を起こしやすい特性を持っています。

例えば、部品が基板に取り付けられる前に部品同士の摩擦や接触によって静電気が発生することがあります。

特に、プラスチックやガラスなどの絶縁体の部品では静電気が蓄積しやすく、金属部品よりも静電気の影響を受けやすい傾向があります。また、乾燥した空気や低湿度(39%以下)の環境では静電気が発生しやすくなります。

さらに、部品を扱う際の作業者の衣服や靴底が絶縁体である場合、摩擦や接触によって静電気が蓄積されやすくなりますし、作業環境が乾燥していたり、静電気が発生しやすい素材で覆われている場合も静電気の発生が増加するでしょう。

静電気が部品に直接放電されると、部品内部の微細な回路がダメージを受け、性能の劣化や故障が引き起こされることがあります。このような静電気による破壊は、部品の外部には見えないことがあるため、外観からは検出や特定が困難なのも厄介な点であると言えます。

直射日光と温度変化

直射日光や急激な温度変化、発熱した照明の近接などの要因は、部品の劣化や破損を引き起こす可能性があります。

例えば、直射日光にさらされることで部品や基板の表面が加熱され、色あせや表面劣化が進行します。さらに、直射日光による温度変化によって、収納ケースや部品表面に結露が発生する可能性も。結露が部品や基板に浸入すると、部品の性能を低下させたり、回路の短絡や腐食といった劣化を引き起こしたりするのです。

電子部品保管の際の劣化対策

電子部品保管の際の劣化対策

電子部品や基板を保管する際には、水分と酸素、静電気といった劣化の要因からこれらの部品を保護することが不可欠です。安曇川電子工業では、具体的に下記のような対策をとっています。

適切な温湿度

電子部品の保管において、適切な温度と湿度は部品の劣化を防ぎ品質や性能を維持する上で極めて重要です。

特に、半導体デバイスなどの電子部品は湿度の影響を受けやすく、誤動作や劣化を引き起こす可能性があります。そのため、一般的な保管条件は以下のようなものが適しています。

  • 温度(5 ℃〜30 ℃):高温下では部品が過熱してしまい、性能が劣化する可能性があります。逆に低温下では、部品の材料が劣化する可能性があるため、常温で保管することが推奨されます。
  • 湿度(40%〜70%):一般的な保管の湿度範囲は、40%から70%です。湿度が高すぎる環境では、部品や基板が錆びや腐食する恐れがあるため、常湿を保つことで部品の劣化や動作不良を防ぐようにします。

ただし、半導体デバイスによって推奨保管条件が異なるので、個別のデータシートを確認することが重要です。

加湿器の使用

部品の劣化につながる静電気は、湿度が39%以下になると発生しやすくなる傾向にあります。そのため、静電気対策として湿度が保てるように加湿器を使用し、現場や保管室の温度、湿度管理を徹底しています。

こうすることで、開梱作業時などに半導体デバイスの性能を劣化させたり、破損させたりするリスクを軽減することができます。

直射日光をあてない

直射日光があたると梱包箱内の温度が上がって、スティック(棒ケース)やテーピング材(リール巻)などの収納ケースが変形したり、急激な温度変化で結露が発生したりします。

そのため、直射日光があたらない場所で保管し結露も発生させないようにしています。同時に、湿気、塵などの影響を避けるため、床への直置きは避けて保管しています。

 
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電子部品の長期保管は劣化が懸念

電子部品や基板は、通常、長期保管されることを前提としていません。これは、電子部品や基板が設計された時点で、ある期間内に使用されることを想定しているためです。

通常、電子部品の寿命は個別にそれぞれ一定期間であると考えられており、部品個別のデータシートで保管条件(劣化条件、フロワーライフ)も定められています。

それにも関わらず、長期保管(6か月〜1年以上)をしてしまうと、吸湿や端子の腐食による特性の劣化や、はんだ付け性の劣化が懸念されます。ですので、購入後(開封後)は、高温多湿、及び腐食ガスの影響がない所で保管し、1年以内に使用するようにしましょう。

電子部品を長期保管する際の劣化対策は?

電子部品の長期保管は推奨されていませんが、通常より長めの期間保管する必要がある場合は、一般的に以下のような方法が採用されます。

アルミラミネートフィルムの袋に封止

電子部品をアルミラミネートフィルムの袋に封止することで、比較的長期間、部品を保管することができるようになります。

電子部品や基板は湿気に敏感で、湿気が侵入すると劣化や腐食につながりますが、アルミラミネートフィルムの袋は湿気を遮断し、部品を乾燥した状態に保ちます。

さらに、酸素も遮断し、静電気を帯びにくい性質があるため、電子部品や基板が破損するリスクを軽減することができます。

乾燥剤と一緒に封止

電子部品は湿気に非常に敏感であるため、乾燥剤と一緒に袋に入れて保管することで、乾燥剤が湿気を吸収し部品を劣化から守ります。

その際に使用する袋は帯電防止ポリ袋・ビニール袋が適切でしょう。帯電防止ポリ袋・ビニール袋は静電気の帯電を防ぐ効果があるため、袋に入れて封じることで静電気を軽減し、部品の安全性が確保できます。

また、より厚みのある帯電防止ポリ袋・ビニール袋と帯電防止エアークッションを併用すれば、耐久性が高まり部品を外部からの衝撃や振動から長期間守れるでしょう。

電子部品の長期でより確実な保管のために

電子部品の中には、保管や取り扱いに際して通常以上の配慮が必要なものがあります。そのような繊細な電子部品のために、安曇川電子工業では、先述したものよりもさらに高度な環境を提供して電子部品を劣化から守っています。

湿度管理室とドライボックス

より湿気に敏感な電子部品や機器の保管には、室内湿度 39%の除湿室を使用しています。

電子部品の長期でより確実な保管のために:湿度管理室

さらに、特に湿度に弱い半導体などは湿度1~2%で常時管理されるドライボックス内で保管しています。

電子部品の長期でより確実な保管のために:ドライボックス
▲ドライボックス

ドライボックスの開閉は手短に行い、ドライボックスを閉じた後は 0.5h以内に5%RH以下になるよう管理しています。

MSL(Moisture Sensitivity Level)に準じて管理

MSL(Moisture Sensitivity Level)は、半導体や電子部品の湿気に対する感受性を示す指標です。

MSL Level
1:30℃、85%RH以下ならフロワーライフなし
2:1年間
2a:4週間
3:168時間(1週間) 
4:72時間(3日間)
5:48時間(2日間)
5a:24時間(1日間)
6:特殊仕様(ベーキングしてから使用)

MSLの数字が大きいほど、部品の湿気に対する感受性が高くなります。つまり、MSLレベルが高い部品は、湿気の影響を受けやすく取り扱いに注意が必要です。

レベル2以上で吸湿を防止する必要がありますが、安曇川電子工業では、レベル2以上の製品はアルミパックに乾燥剤を入れて梱包しています。

こうすることでパッケージ内の湿度を低く保ち、部品が劣化することを防止。また、アルミパックは耐久性が高く輸送時にも安全に取り扱うことができ、長期間の保管から輸送まで耐えることができるようになります。

 
 

プリント基板実装、電気機械器具組立の安曇川電子工業|関西・近畿

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