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こんにちは。安曇川(あどがわ)電子工業です。
ブログをご覧いただきまして、ありがとうございます。
この記事では、基板実装に欠かせない半導体について、
その材料となるシリコンや、半導体の意味、役割をご紹介します。
目次
世界の半導体市場は好調を維持しています。
それは、「半導体」関連企業の好業績が、テレビや新聞で連日報じられていることからも伺えます。
WSTS(世界半導体市場統計/World Semiconductor Trade Statistics)によると、
世界半導体市場規模は2024年、13.1%増で過去最高の5883億米ドルに。2000年の約3倍に増加しています。
では、半導体とは何でしょうか?
テレビや新聞で報じられる「半導体」の大半が
シリコン(Si、ケイ素)を材料にして作られる電子部品(半導体デバイス)を指します。
デバイス(素子)には複数の種類があります。
先のWSTS(世界半導体市場統計/World Semiconductor Trade Statistics)の基準では、
IC(集積回路)と非ICの2つに分けられます。
(1)IC(集積回路/Integrated Circuit)
(2)非IC
まずIC(集積回路)とは、シリコン半導体チップ(シリコン半導体基板)の上に、
トランジスタや抵抗(電気抵抗)、ダイオード、コンデンサなどを多数搭載した電子部品です。
その電子部品のまとまりが、複数の端子を持つパッケージに封入されます。
現在のICは、最小寸法として10ナノメートルを切るほどの極小のものが使われています。
また、極小部品でシリコン半導体チップ上の集積度を高めたものが
LSI(大規模集積回路/Large Scale Integration)です。
さらにICは、4種類に分けられます。
(1)IC(集積回路/Integrated Circuit)
(ⅰ)ロジック
(ⅱ)メモリ
(ⅲ)マイクロ(マイクロプロセッサ/MPU、マイクロコントローラ/MCU)
(ⅳ)アナログ
それぞれの機能と具体例を挙げると、
機能:演算
具体例:ロジックIC、ASIC など
機能:記憶
具体例:DRAM(Dynamic Random Access Memory)、フラッシュメモリ
機能:演算、記憶
具体例:プロセッサ(コンピュータの心臓部)、マイコン
機能:信号増幅、アナログ・デジタル変換
具体例:AD/DCコンバータ
一方で非ICは、3種類に分けられます。
(2)非IC
(ⅰ)オプトエレクトロニクス
(ⅱ)ディスクリート(個別半導体)
(ⅲ)センサ
それぞれの機能と具体例を挙げると、
機能:光関係(受発行)、光を電気信号に変換、電気信号を光信号に変換
具体例:発光ダイオード、レーザー
機能:トランジスタ単体
具体例:パワー半導体(金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ/MOSFET、絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ/IGBT)
機能:温湿度や圧力、加速度を検出
具体例:圧力センサ、加速度センサ
テレビや新聞で「半導体」と報じられるときは、半導体デバイス全体を指します。
一方で物理学で使われる「半導体」は、テレビや新聞で報じられる半導体と意味が異なります。
物理学で使われる半導体は、物質の電気の流れやすさを指します。
物質には電気を通す導体と、電気を通さない絶縁体(不導体)があります。
例えば金や銀、アルミニウムは導体で、ゴムやガラスは絶縁体です。
そして、導体と絶縁体の半ば(中間)の性質を持つ物質が、物理学で使われる「半導体」です。
つまり半導体は、電気を通す導体と、電気を通さない絶縁体の半ば(中間)の物質です。
・ニュースや新聞で報じられる多くの場合/半導体デバイス全体を指す
・物理学で使われる場合/電気を通す導体と、電気を通さない絶縁体の半ば(中間)の物質を指す
では、電気を通す(電気の流れやすさ)、通さないは、何を見ればよいかというと、
電気抵抗率(または、比抵抗/Specific Electrical Resistance)です。
電気抵抗率は、Ω・m(オーム・メートル) の単位で示します。
電気抵抗率が小さいと物質は電気を通しやすく、
一方で、電気抵抗率が大きいと電気を通しにくい物質といえます。
「はむかう」「さからう」という、抵抗の言葉の意味を考えれば、
抵抗率が小さいと電気を通しやすく、
抵抗率が大きいと電気を通しにくいというのも分かりやすいですね。
・抵抗率が小さい …… 電気を通しやすい(例えば、金や銀、アルミニウム など)
・抵抗率が大きい …… 電気を通しにくい(例えば、ゴムやガラス など)
電気抵抗率の大きさは、(電気を通す)導体が小さく、
(電気を通さない)絶縁体が大きいということになります。
また半導体は、導体と絶縁体の半ば(中間)の物質を指すため、
半導体の電気抵抗率は、導体より大きく、絶縁体より小さくなります。
電気抵抗率は、右の物質ほど大きくなります。
導体 < 半導体 < 絶縁体
半導体の材料として現在、最も使われているのがシリコン(ケイ素/Si)です。
シリコンが半導体の材料に適している理由は主に4つです。
(1)資源の豊富さ、酸素に次いで多い存在量
(2)不純物を取り除きやすく、高純度に精錬・精製しやすい
(3)安定した酸化膜の形成、集積化加工がしやすい
(4)電気の流れやすさ(抵抗率)が制御しやすい
例えば、
いくら半導体の材料としての機能を持ち、加工しやすくても、量がなければ普及しません。
その点で、シリコン(ケイ素/Si)の存在量は、地殻重量の28%に達し、酸素に次いで多いです。
(国立環境研究所)
シリコンは、岩石や砂、水、植物などの形で、酸素と結びついて身近なところにも存在しています。
シリコンは酸素と結びつきやすいため、大部分は酸化して白っぽいケイ石(珪石)として存在しています。
半導体製造の第一歩は、シリコンウェーハを作ることです。
シリコンウェーハは、表面を鏡面に磨き上げて凹凸や粒子を排除した円板で、半導体の基盤(基板)材料です。
このシリコンウェーハの原料は、採掘されたケイ石を精錬・精製した超高純度の多結晶シリコンです。
純度率を、99.999999999%(イレブンナイン)にまで高めたもので、ほぼ純粋なシリコンの結晶です。
ここまでは半導体の材料としてのシリコンを紹介しましたが、
シャンプーやトリートメント、日焼け止めやファンデーションといった化粧品にも
“シリコーン(Silicone)”が含まれています。
ただ、シャンプーや化粧品などに含まれているのはシリコーンであって、シリコン(Silicon)ではありません。
シリコンと、シリコーンは、同じケイ石を原料としながら別の物質です。
普段の生活で、シリコーンのことをシリコンと省略して発音することがあるため、同じものと混同しがちです。
シリコーンは、ケイ石を原料とした合成樹脂で、コーティング剤のこと。高分子有機珪素化合物と呼ばれています。
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