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LTCC基板とはLow Temperature Co-fired Ceramicsの頭文字を取った略称であり、「低温同時焼成セラミックス」を指します。一般的な誘導体セラミックスよりも低い温度で焼成でき、導体として電気抵抗が小さい銀や銅などの低融点の金属を採用できるため、基板内の電力ロスを最小化できます。
本来は、配線基板用のための技術ですが、今日では誘電体セラミックスとして回路基板など多岐にわたる分野で採用されています。今回は、様々なプリント基板の実装を手掛ける安曇川電子工業が、LTCC基板を利用するメリットや取り扱いの留意点などをご紹介します。
LTCC基板とは、低温同時焼成セラミックスと呼ばれ、酸化アルミニウムにガラス系材料を加えて、従来のセラミックスよりも低温(1000℃以下)で焼成を行うものです。
従来の一般的なプリント基板で採用される誘電体セラミックスは、1200~1400℃の温度で焼結されることもあり、回路電極はW(タングステン)やMo(モリブデン)などの耐熱性が高い金属しか使用できませんでした。
しかし、技術の発達や多様な電気製品の普及により電子回路は高周波化し、その結果、高耐熱性(高い導体抵抗)の金属は電気が伝播しにくく、電子回路の信号が低速化してしまうなどの問題が生じていました。
そこで、低温で焼成されるLTCC基板であれば、耐熱性が低い金属(低抵抗導体)であるAg(銀:融点960℃)を導体として使用することができ、さらに導体抵抗による電気ロスが少なく高周波化にも対応できる多層基板の実装が可能となりました。
また、LTCC基板は、基材がセラミックスであることから、高耐熱・高耐湿性能に優れ、収縮のばらつきが少なく、高精度・高密度の実装が可能です。
LTCC基板は、複数の誘電体グリーンシート(セラミックス・ガラス・有機バインダー・可塑剤・溶剤などの混合物からなる誘電体のシート)を積層して構成されます。このグリーンシートの厚みは20〜100µmで、非常に薄い誘電体です。
それらを板状に金型で打ち抜いて、ビアと呼ばれる貫通穴を開けて、Ag(銀)などの低抵抗導体を流して電極を形成します。
そして、グリーンシートの表面とビアにはAg(銀)などの低抵抗導体が印刷され、これらを積層し一体化させて、低温(1000℃以下)で焼成します。
平面的に電気信号が流れる板(回路)ではなく、X-Y-Z軸に立体的につながり電気信号が流れる板(回路)が、LTCC基板の構造です。
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従来製品の電子基板は、Fe(鉄)やCu(銅)などにより構成されます。これらの耐熱性が低い金属では、電子回路の信号として入力された電気エネルギーが熱に変換され、エネルギーロスが生じてしまいます。
しかし、LTCC基板においては、基材がセラミックスであることやAg(銀)などの低抵抗導体を採用しているため、耐熱性・耐湿性に優れ電気抵抗が少なくなり、電気エネルギーが逃げにくく、回路の中で電気エネルギーのロスが少ないことが大きなメリットです。
また、配線パターンを表層やビア、内層に形成できるため多層化が容易であり、回路のボリュームの抑制と高密度化が両立できるのも、LTCC基板を用いる利点と言えます。
LTCC基板は、従来の一般的な基板と比較して、耐熱性や熱伝導性、周波数特性に優れていますが、機械的な強度が高いゆえに靱性が低く、衝撃に弱いという性質があります。
そのため、表面実装時に割れやすく部分的に欠けやすいことが注意すべき点として挙げられます。
また、複数のグリーンシートから構成され小型であることから、モジュールの厚さが薄い受動部品(外部から供給されたエネルギーを消費・蓄積する部品)を設計する際は、排熱の点などからも部材の設計難易度や実装難易度が高くなります。
安曇川電子工業はプリント基板の表面実装 、手挿入部品のフロー半田、ユニット組立を専門に行う会社です。LTCC基板などの高い技術を要する基板の実装もお任せください。
また、基板設計者の方が製図した基板の機能を維持しつつ、量産時に不具合やコストアップを招かないよう変更提案を行うVA・VE提案を得意とするほか、基板実装だけでなく、ユニット・制御機器のOEMメーカーとしての実績も多数保有しています。
など、
プリント基板実装に関して25年の実績があり、高精度・高品質な製品と技術ノウハウを提供する安曇川電子工業株式会社へお問合せください。