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プリント基板にある小さな穴、ビア(VIA)は、両面基板や多層基板において、層間に電流を流すために必要なものです。
ビアがあることでなぜ導通するのか、ビアにはどのような種類があるのかなどをプリント基板実装を手がける安曇川電子工業が解説いたします。
目次
プリント基板には「ビア(VIA)」と呼ばれる穴がいくつも開いています。「via」は「経由する」とか「通る」という意味があり、プリント基板においては、導通するためにビアは存在しています。
基板の表面層のみで、すべての配線が完了し接続要求を満たすことができればよいのですが、多くの場合はそうではありません。そこで、両面基板や多層基板を用いて配線接続ができるスペースを増やすのですが、その際に複数の層を導通させる必要があります。
ビアの穴の内面は銅メッキが施されているため、ビアがあるところや貫通しているところは導通し、別の層にも電流が流れるようになるのです。ビアの数を増やせば、その部分はより多くの電流が流れることになります。
しかし、ビアを打つことは製造コストを増加させ、電気特性を劣化させる要素にもなるので、一般的に配線設計ではできるだけビアの数は少なくする設計が理想とされています。
ビアとよく似ていますが、まったく役割の違う穴に、スルーホールがあります。ビアは電流を流すための穴ですが、スルーホールはリード部品を挿入するための穴です。
スルーホールの穴の内面は銅メッキが施されており、さらに穴の周りには、「ランド」と呼ばれるはんだ付けする部分があり、スルーホールとランドは電気的につながるようになっています。
ビアはリード部品を通すわけではないため穴が小さいですが、スルーホールはリード部品を通す分、ビアよりは大きな穴になっています。
ビアは、貫通の仕方や基板の層のどこを貫通しているかなどによって種類が変わります。
スルーホールビアとは、多層基盤などにおいて、全ての層を貫通した接続用のビアのことです。
一般的に多層基板では、基板を積層した後ドリルで穴をあけ、その後銅メッキを施してビアを作ります。こうして出来たビアは、部品面のあるトップ層からはんだ面であるボトム層までを貫きます。
スルーホールという名前が付いていますが、先ほどご紹介したリード部品を挿入するスルーホールとは別の物で、スルーホールビアはあくまでもビアの種類の内の一つです。
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インタースティシャルビアは、基板を貫通しない非貫通ビアで、4層以上の基板で使われるビアのことです。穴あけは、ドリルではなくレーザーを用いて行なわれます。
インタースティシャルビアの中でも、表面層から内層を接続するビアのことをブラインドビアと呼びます。表層と1つ以上の内層を接続しますが、基板全体を貫通するものではありません。
ベリードビアは、表層は含まず、内層間のみを接続するビアのことです。基板表面からは見えず、基板内部に埋め込まれていることから、埋め込みビアとも呼ばれています。
ベリードビアによって、基板内部の2層以上の内層間が接続されます。
ビアは、打ち方によって配線スペースが狭くなったり、配線の妨害をしてしまったりする恐れがあるため、事前のビアの位置設計は非常に重要です。
また、スルーホールビアは一気に貫通させれば良いですが、インタースティシャルビアは、各層間の穴の位置が同じでも良い場合と、穴位置をずらして打たなければならない場合とがあります。
そのため、基板工場の設備や工法によって異なるビア形成については、製造工場に確認した方が安心です。
プリント基板に部品を実装した後に、防湿コーティングを行う場合があります。その際にビアホールがあると、コーティング剤がビアを通して基板裏面まで流れ込み、不良品を作ってしまうことがあります。
そこで、コーティング剤がコネクタやスイッチの接続部に付着することを避けるためには、ビアの穴径を小さくし、レジストインクで穴が埋まるようにするなどの工夫が必要です。
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