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プリント基板を構造で種類分けすると、片面基板、両面基板、多層基板などに分けられますが、それぞれの基板にはどのような材料が使われ、どういった順番で構成されているかご存じでしょうか。
私達の暮らしを支える電気機器には適した構造のプリント基板が必要で、また構造によって、表面実装の際の注意点も変わってきます。
そこで今回は、プリント基板はどのような構造でできているのかを回路層ごとにご紹介、そして私たち安曇川電子工業が、プリント基板の構造ごとに何に配慮しながら表面実装を行っているのかを解説いたします。
目次
プリント基板の構造について理解を深める前に、まずは、ベースとなる材料(基材)によって2つに大別できるプリント基板の種類について知っておきましょう。
リジッド基板は柔軟性はなく、固い絶縁体基材を用いたものです。
部品を実装する際に、設備に基板を直接固定することができるため、実装が容易にできるという特徴があります。
フレキシブル基板は、薄い絶縁材料を使っており、柔軟性があって曲げることができるプリント基板です。主に、折りたたみ式携帯電話やノートパソコン、電子辞書などの可動部分やカメラのレンズ部分などに利用されます。
部品を実装する際には、基板を固定するパレットが必要であることでイニシャル費が高く、量産には向きません。しかし、省スペースで軽量化が実現でき、自由度が高いという長所があるため、幅広く採用されています。
リジッド基板は、ベースに使用される材質(基材)と樹脂によって種類分けできます。
ベースの材質には、「紙」と「ガラス布」があり、樹脂には「エポキシ樹脂」と「フェノール樹脂」を用いたものが一般的で、基材と樹脂の組み合わせでリジッド基板は形成されています。
このリジッド基板の構造を回路層ごとに解説します。
片面基板とは、片面のみに配線パターンが形成され電子部品が実装されたものです。
一般的なリジッド基板の場合、片面基板では下から、[基材]-[銅箔]-[ソルダレジスト]という構造になっています。
両面基板は、片面だけではなく両面に配線パターンが形成された基板です。
構造は、下から、[ソルダレジスト]-[銅箔]-[基材]-[銅箔]-[ソルダレジスト]となり、基材を真ん中にして、片面基板の構造が両面にある状態です。
両面基板の場合は、層間に電流を流したり、リード部品を挿入したりするためのビアやスルーホールといった穴も存在します。
多層基板は、ミルフィーユの様に絶縁体とパターンを積み重ねた基板で4層以上のもののことです。
構造は、基本は両面基板と同じように中心に[銅箔]-[基材]-[銅箔]があり、層を重ねるごとに銅箔が増え、最後にソルダレジストで覆います。
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フレキシブル基板はリジッド基板と違って、基材に絶縁性を持った薄く柔らかいプラスチックフィルムが採用されています。
このプラスチックフィルムの材質は、一般的にはポリイミドフィルムで、その他にはPETフィルムも採用されることがあります。
フレキシブル基板の基本的な構造は、リジッド基板に似ていますが、素材の違いもあるため、それぞれ回路層ごとに構造の特徴をまとめます。
リジッド基板では表面にソルダーマスクを印刷しますが、フレキシブル基板の場合は、カバーレイと呼ばれるプラスチックフィルムをラミネートします。
フレキシブル基板の片面基板は、下から[基材]-[接着剤]-[銅箔]-[接着剤]-[カバーレイ]という構造です。
フレキシブル基板とリジッド基板とほぼ同じ構造ですが、基材と銅箔の間、また銅箔とカバーレイの間に接着剤が必要です。また、フレキシブル基板の場合は必要に応じて補強板を追加することもあります。
フレキシブル基板の両面基板の構造は、[カバーレイ]-[接着剤]-[銅箔]-[接着剤]-[基材]-[接着剤]-[銅箔]-[接着剤]-[カバーレイ]となります。
リジッド基板同様、片面基板の構造が基材を中心に反対側にも構成されます。
フレキシブル基板も、リジッド基板と同様に層を積み重ねた多層基板を製造することがあります。
カバーレイを除いた両面基板の構造が中心にあり、銅箔と接着剤で層を重ね、最後にカバーレイを上下両方の面に印刷するとフレキシブル基板の多層基板が完成します。
プリント基板に表面実装する際は、片面基板や両面基板、多層基板といった構造の違いによって、はんだ付けの工程を変える必要があります。
まず、片面基板の場合は、クリームはんだではなく、はんだを溶かして槽に満たしておき、その上に基板を通過させてはんだを噴き上げ接合するフローはんだではんだ付けをするのが一般的です。
一方、両面基板と多層基板では、リフロー炉と呼ばれる「窯」のような設備に基板を入れ、クリームはんだを溶かして接合します。クリームはんだを溶融させる熱量は層の数によって異なり、多層になるほど多くの熱量が必要となります。
そのため、プリント基板の構造によって適切な温度にリフロー炉を調整し、できるだけ基板に負荷がかからないように配慮をしながら表面実装を行っています。
安曇川電子工業はプリント基板の実装 、手挿入部品のフロー半田、ユニット組立を専門に行う会社です。
基板設計者の方が製図した基板の機能を維持しつつ、量産時に不具合やコストアップを招かないよう変更提案を行うVA・VE提案を得意とするほか、基板実装だけでなく、ユニット・制御機器のOEMメーカーとしての実績も多数保有しています。
など、
プリント基板実装に関して25年の実績があり、高精度・高品質な製品と技術ノウハウを提供する安曇川電子工業株式会社へお問合せください。